オングル島での基地建設のある日、西堀副隊長がしみじみとした声で宗弘に言った。
 「君の親爺(宗作)が生きとったら、今回の君の南極観測隊参加をどんなに喜んだやろなぁ。」 その時側にいた
中野ドクターもまた言った。「ぼくも君の親爺はよく知っている。今の君を見たら、本当にどんなに喜んだだろうなぁ。」
 宗弘はこの二人の大先輩の言葉に「胸が熱くなった」と、その南極日誌に書いている。
 南極の地に来てまで、父宗作の気配を身近に感じた宗弘だったと云う。
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 かくして基地は完成し、昭和基地と命名された。
 基地手前に基地設営隊であった「立山五人組」の幕営地が見える。

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