今も芦峅寺の村はずれには、山岳遭難者の石碑が4基建っている。
 板倉さん、三宅さん、水越さん、そして佐伯宗作の碑である。
 芦峅寺の村人にも多くの山岳遭難者がいるが、人命救助をして自らの命を捧げた宗作の最期がこの石碑として
残ったのだろう。
 昭和十一年、宗作遭難の翌年に建立された「佐伯宗作君の碑」の除幕式が行われ、三男一女の遺児の介添えを
した栄作が、参列者の方々に「ここにいる宗弘もやがて大人になれば、宗作のように、皆さんのお子さん達を立山
にご案内いたします。」と挨拶したと云う。その栄作もそれから僅か三年後、昭和十三年に五十歳で病没した。
 建立された父の石碑の前左より長男宗弘、三男宗彦、次男宗信そして栄作であろう。


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