親爺のずぼら料理帳    番外・山小屋まかない編   戦前の立山ウサギカレー   2013/07/16   掲載 

材  料  ウサギ肉、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、うどん粉、カレー粉
調味料   塩

 剱の大将と呼ばれた名ガイドで、剱沢小屋の先代親爺、佐伯文蔵さんが、口述筆記により戦前の立山で作られ、お客様に供されたと言うウサギ肉のカレーの作り方を残している。
 戦前の立山では、括り罠で、簡単にウサギが獲れたので、ウサギカレーを山小屋で提供できたのだろう。親爺も子供の頃からウサギ肉には馴染みがあるが、カレーと言われると余り覚えていない。で、心平がこの冬に獲ったウサギ肉を使って、文蔵親爺のレシピを忠実に再現してみることにした。
 ウサギ肉を細かく刻み、肉を外した骨も一緒に鍋で煮る・・・
  
 最低でも30分はコトコトと湯煮し、浮いてくるアクを獲る。
 肉の固さを見ながら、適当なところでカレー粉を少し入れ、又コトコトと煮続け・・・
  
 その間に野菜を切っておく。在り合わせの野菜で良いが、戦前は玉ねぎではなく葱を使うことが多かったらしい。今回はオーソドックスに玉ねぎ、人参、ジャガイモを入れることにした。
 まあ、これも不通にたべやすい大きさに切って置けば良いだけの話で、在り合わせの山小屋でも長期の保存の利く野菜ならなんでもいいのだ。親爺は手を出さず口を出してばかり・・・。
    
 で、頃合いを見て切った野菜も鍋に入れ、又ここでカレー粉と塩を加え、味を調えて煮込む。
 とにかく塩味だけなので、幾分辛めに塩を入れて煮込んでも大丈夫だ。
 気長に、コトコトと煮込み続けると・・・・・・ 
   
 肉や野菜から良いダシが出て、まるっきり塩以外は入れていないにもかかわらず、濃いがさっぱりした味に煮上がってくる。で、そこへ、うどん粉を水溶き下ものを入れ、とろみをつけるのだが、ここで好みで唐辛子を振って辛くするのも良い。    
 何だか妙に懐かしい、カレーが出来上がる。豚肉や鶏肉より遙かにあっさりしたカレーだが、旨味は濃い。
 今風のオイルで焼いたり、炒めたりという行程は全くなく、とにかく鍋で煮ると言うだけのごった煮カレー。しかも由緒正しいヱスビー食品のカレー粉のみを使って居るのだ・・・。
  
  古の立山の山小屋でお客様に供されたと言うウサギカレーである。
 当時の食事としてはこれでもハイカラで、とても人気のあった西洋料理だが、作られるのはまれで、運の良いお客様のみが味わう事が出来たのだろう。
 遊びに来ていた山の仲間を交え、賑やかな夕食となった昨夜の剱御前小舎だ。
 
   

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