親爺のずぼら料理帳     No.50 山里の焼き草餅「やきつけ」   2013/05/20   掲載 

材 料  蓬(餅草)、もち粉、米粉(無ければもち粉のみで可)、味噌、砂糖、サラダ油

 「やきつけ」は今や我が山里の名物のように言われているが、山里には残念ながら、他に誇れるような美味いものは少なかっただろうと言うのが親爺の持論だ。
 この「やきつけ」とて、元はくず米を用いて作った、味よりも腹ふさぎ的な意味合いの強いものだったろう・・・。
 で、先ずオカカが用意したのはもち粉に、僅かのうるち米の粉をブレンドした粉、それに加えるは、茹で刻みすりつぶしておいた蓬と、味噌、砂糖は目分量。
 これを粉に混ぜる・・・・・
    
 まるで、蕎麦打ちの水回しのように、丁寧に粉と蓬と味噌を混ぜ、ほんの僅かのお湯も加え、砂糖も加え、丁寧に一生懸命こね回して行く・・・この時一気に湯を加えると取り返しが付かなくなるのだそうで、少しずつ、少しずつ加え、捏ねてゆくのだ・・・・・   
 気長に、丁寧に粉全体に蓬や味噌が回るように、捏ね、捏ね、捏ねて行くのだが、筋肉痛が出るくらいに大変なのだとオカカが言っている。最期にはきれいな味噌入りの草餅生地が出来上がる・・・・・。   
 生地を丸め、平たく伸ばし、丸餅状にし、これを油を引いたフライパンで焼くのだ。
 
  
 両面に程良い焦げ目が付くよう、火加減をしながら焼き上げ、
出来上がりである。熱々を頂くも良し、冷めても十分頂ける。
 子供時代は美味いなどと思わず、いやいや食べていたものだが還暦を過ぎた今食べてみると、蓬の香りや、油味の後からかすかに舌に来る味噌や砂糖の味も好ましく、全く素朴で健全な日本人のおやつだと思った。
 オカカと二人の昼下がりのお茶や、コーヒーのアテに持ってこい
の「やきつけ」である。
           

Go to Top

inserted by FC2 system